アイアンガー氏
90歳
ヨーガを実践している方の中で「B.K.S. アイアンガー」という名前を知っている方は多いかもしれません。特に欧米ではアイアンガー氏のヨーガ・メソッドがよく知られており、米タイム誌で、世界で最も影響力を持つ100人のうちの1人に挙げられているほどです。日本でもアイアンガー氏のメソッドに影響を受けているヨーガの先生方もいらっしゃると思います。
さて、そのアイアンガー氏の本拠地は、インド・マハラシュトラ州のプーナ(プネーとも言う)にあります。筆者の学んだカイヴァルヤダーマ・ヨーガ研究所のあるロナワラという町から、電車で約1時間の所です。プーナにはプーナ大学という有名な大学があり(日本からの留学生も少なくありません)、市街も落ち着いた印象です。
私は1990年に、アイアンガー氏のアシュラムを訪れました。まずびっくりしたのは、天井からロープが下がり、梯子のようなものや、ブロックなどがあり、道場はさながら体育館のような雰囲気であったことです。ちょうどアイアンガー氏は、ブルマーのようなもの1枚はいて、生徒を指導していらっしゃいました。当時、既に70代でしたが、その胸板の厚いがっしりとした(でも、手足はすらりと長い)体つきと、穏やかな、というよりも、スパルタ式(?)の教え方が印象的でした。
当初、そうしたアイアンガー氏のメソッドは、カイヴァルヤダーマでのソフトな教え方に比べて、かなりハードな印象を受けました。しかし、アイアンガー氏は、幼少時は身体が非常に弱く、ヨーガで克服したことや、インド哲学にとても造詣が深いといった、その人柄に触れると、その方法も一つの道であると、少し見方が変わりました。
インドでは1920年代、伝統的なヨーガの復興が起こりました。アイアンガー氏によれば、氏がヨーガを始めた頃、ヨーガの指導者は非常に数少なく、インド・ボンベイ管区(イギリスの植民地であったインドは、ベンガル・ボンベイ・マドラスの三つの管区がありました)所在のヨーガの研究所は、プーナの氏の研究所の他には、ロナワラのカイヴァルヤダーマ・ヨーガ研究所とサンタクルツのヨーガ研究所だけでした。(ちなみに、カイヴァルヤダーマ・ヨーガ研究所はムンバイにもセンターがあります。)
インドのテレビ番組でのアイアンガー氏はこちら(90歳、元気です)
http://www.youtube.com/watch?v=3-wKYe2zLwA
ただ・・・ひとりひとり個性や体力、年齢は異なり、一つのヨーガ・メソッドが万人に当てはまるとは限らない、ということも心に留めておいたほうが良いように思います。基本はおろそかにせず、自分にあった方法を習得していくことが、ヨーガを息長く実践していける秘訣とも言えるでしょう。
2009年4月11日
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